今週も不安なドラゴンボール超 #57

ベジータがあっさりやられた戦いにトランクスが参戦し、何故かある程度戦えているという不自然な展開になった。一体どれだけの不自然を積み重ねるのだろう。一応トランクスはほとんどザマス(名前覚えた)としか戦っていないという点で、ザマスが弱いという可能性も考慮できるものの、ザマスはその前に青悟空ともやり合い、致命的な打撃は一切受けていない。いい加減なバランスだ。本当に、いい加減なバランスだ。戦闘力が上がるという事は、スピードも上がるという事だ。ザマスが不死身になっただけならば、悟空の動きなど見えるはずがない。強くなったのなら、トランクスなど相手にならない。
この作品では、ひたすら強くなるインフレでも、弱くなってしまうデフレでもなく、強者と弱者の間の距離が縮まる現象が起こっている。デフレとは違う。インフレもしている。インフレとデフレが同時進行しているようなものだ。設定的にはどんどんキャラクターが強くなっているにもかかわらず、インフレに置き去りにされたはずのキャラクターが抵抗できてしまっている。パワーバランスに対する姿勢はGTの方がマシだ。超サイヤ人にしかなれないその他大勢がただのやられ役になっていた。それが面白いかと言えば別問題ではある。
「トランクスは超サイヤ人2になった上で、界王神のサポートを受けて苦労してダーブラを倒した」「武闘派界王神見習いのザマスは、超サイヤ人2の悟空より弱い」といった正確無比なパワーバランスは最初だけだった。

結局悟空達は普通に敗北。敗北するという時にも界王拳を使わない。界王拳を使おうとして阻止されるとかならわかる。使う前に倒されたというのなら。ザマスが大会の映像を見ているから、「孫悟空界王拳を使う素振りを見せたら全力で止めるんだ」とクロロットに言っておくとか、「不死身の奴相手じゃ界王拳を使っても意味がねえ」と言わせるとか。何でも良いから「なんで使わないのか」という疑問には答える義務がある。大猿化したベジータに対しては、悟空が「5倍にしたって奴には通用しない」と説明してたじゃんね。ドラえもんの映画は見た事はないが、「ここであの道具使えよ」というツッコミに対する対策は一応していると思う。四次元ポケットが封じられる、道具を奪われるなど。
そして敵は「たかが人間の煙幕程度」の妨害で悟空達を見失い、全員の殺害に失敗する。アホですやん。何、このしょぼさ。何度も言ってるけど、レジスタンス描きたさが先行し過ぎてんだよ。新生RR軍対レジスタンスとかで思う存分やれよ。誰相手にやってんの。まーね、太陽拳はだいたいの敵に効く世界だけどねー。賢くなったブウが煙幕使っちゃう世界でもあるけどねー。「ただの人間に妨害される」のがイヤなんだよ。今更人間風情が関わるな。人間は帰れ帰れ。

「人間のいない理想郷」を構築するために、広い宇宙の中の地球だけを何年にも渡って攻撃し、人間の妨害で敵の殺害に失敗し、それが元で敗北する事になる。今回の敵のテーマは「アホ」なのかな。世界平和を実現するために、まず自分が通う学校の不良を撲滅するくらいに、あるいは世界征服のために都内の幼稚園を襲うくらいに遠大な計画だ。何百億年かかんの?*1
「ザ、ザマスは不死身なのか!?」→ブウは不死身でした。
「地球を壊滅させるなんて許せない!」→ブウは壊しました。
基本的にブウの二番煎じ以下だ。「とっとと地球を壊せばいいだろ」と突っ込みたくなる。狙いがドラゴンボールという事もあり得ない。もうない。人間だけがターゲットで地球を壊したくないのだとすれば、前にも書いた通り、ブウより不器用なのは確実だ。滅ぼす過程を楽しんでいた人造人間より仕事が遅い可能性さえある。
んで結局過去に戻るんだよな。またストーリーが途切れた。ぷつり、ぷつり……。

次回はよその宇宙の神であるザマスが、どういうわけかズノーを知っていて、ズノーから情報を吐かせるらしい。都合のいいキャラクターだな……。
そういえば、結局「悟空がブラックの正体を確かめるべくザマスと会った事で、ブラックが誕生する事になった」というパラドックスが起きている。原作の考え方とは食い違う。ブラックはザマスと悟空が会ったから誕生した存在で、悟空がザマスと会ったのはブラックの存在を知ったから。こんなループ、セル編では起こっていない。セル編では無数の歴史が生まれ、大変ややこしい事になっている。ただ事態を解決するために取った行動が、結果的に未来を地獄に変える事に繋がった、というような事にはなっていない。本編の次元ではセルの誕生を普通に防いでいるし、悟空の心臓病も治っている。
超の展開を原作に持ち込むと、たとえばトランクスが持ってきた薬によって悟空の心臓病が悪化してしまうとか、そういう事になる。何かどうも、原作の展開を踏まえるとしっくり来ない。タイムトラベラーものとしては、むしろ超の方が良くある展開ではあるだろう。しかし少なくともセル編では、地獄の未来と薔薇色の現在が存在したわけだ。ループネタはしっくり来ない。

パラドックス云々じゃない。根本的なところがおかしかった。そもそも本編の世界の未来にミランクスのいる歴史など存在しないのに、17年後の未来のザマスが、ミランクスの次元にいる事がおかしいのだ。悟空と会ったザマスが向かうべき未来は、ミランクスの存在しない世界だ。またミランクスが存在する世界のザマスは、悟空となど会っていない。この部分に関しては、説明される可能性もある。ミランクスが行き来した時空の穴みたいなものを利用しているのだとしたら、ミランクスの次元に移動していても不思議ではない。17年後の世界のザマスは、今から17年後のザマスというではなく、別の次元の未来に移動したザマスということなら納得できる。

*1:はるか後に追記。知的生命体の住む惑星は第7宇宙に30個足らずしかないと判明した。1個の惑星を滅ぼすのに10年かかったとしても、1つの宇宙で人類を殲滅するには300年程度しかかからない。