※「関係ない人も傷つくから汚い口論はやめよう」というようなことを長々と書いています。
罵る著名人たち
Twitterが嫌いだ。本当に、反吐が出るほどに嫌いだ。その理由は語り尽くせないほど多いが、一つは多くの著名人が批判や攻撃に対して、相手を口汚く罵っていることだ。
たとえばたまたまある芸人のtwitterを見てみると、自分の番組をネットで見たと言った人物を攻撃していた。攻撃というほどのものではないが、敵意は持っていないであろう相手に対して、冷淡に切り捨てていた。違法動画を不快に思うのは何も間違った事ではないが、どこか釈然としないものを感じたのも事実だ。「ああ、こういう風に冷たい言い方もする人なんだな」と思ったものだ。
それに一つの矛盾がある。この芸人は頻繁に「Youtube」で笑いを取っているのである。「Youtubeで見た」ということもあれば「これはYoutubeにアップされますね」と言って笑いを取ってきた。つまり自身も違法動画を見ているのである。自分の行為を棚に上げて相手を非難しているわけだ。
また別の芸人も、見る度誰かとケンカしている。テレビでは「敏腕事業家でよきパパ」みたいな顔をしている人物が、Twitterでは「童貞野郎」がどうのこうのと人を汚く罵っている。中学生くらいのファンが見た時にどう思うか想像しないのだろうか。
こういったことは芸人に限らない。ある漫画家が、自分の漫画のキャラクターを罵るつぶやきをしてきた者に対し、非常にポエミー且つ不愉快な罵倒をしていたこともあったし、クリエイター達が、違法ダウンロード者に対して「死ね」などと口汚く罵る事も多い。
もちろん、いちいち相手を罵倒する利用者ばかりではないと思うが、滅多にTwitterを見ない自分が、たまたま見た時には必ずそういった発言がされているのである。そういうところだと思っても仕方ないだろう。
関係ない者まで巻き込む罵倒
罵倒は相手一人に向けられたものではない。必ず周囲を巻き込んでいる。たとえば「童貞」という罵倒は、罪のない童貞達をも巻き込んでいる。自分の性器を女性器に挿入したことがない、というただ一点で、何故攻撃されなければならないのだろうか。「童貞野郎」と罵っているのを見た童貞がいい気分になるはずがない。この一言で、童貞を敵に回しているのだ。普段から童貞を侮蔑していることが、その一言でわかるからである。
「ハゲ」「チビ」も同じで、相手の性体験の有無や身体的特徴を勝手にプロファイリングして、それを罵倒するのは、それに該当する人々全てへの攻撃になる。その上、罵ってきた相手は童貞でもハゲでもチビでもないかも知れないのである。それでは、単に童貞やハゲ、チビを攻撃しただけになってしまう。
他にも職業や社会的地位、交友関係を想像して罵倒するケースが多い。「低学歴」「無職」「社会の底辺」「孤独」「暇人」「友達がいない」……。筆者は多くの罵倒の条件にあてはまっている。低学歴の無職で友人は一人もいない。その上チビでハゲでデブで、且つ短小包茎の童貞野郎である。人格も少々腐っている。だがむやみやたらに人を攻撃したことなどない。であるにも拘わらず、全く関係のない連中から毎日のように罵られているのである。理不尽ではないだろうか。何故何もしていないのに、罵られなければならないのか。
自意識過剰とか被害妄想だとか言うのは簡単だ。確かにそういう面があることも認める。だが果たして「ハゲ」と相手を罵倒する人間に、「ハゲ」に対する差別意識が皆無だと言えるだろうか？罵倒はその人間が日頃から何を差別しているかが露呈する。本人はその相手にだけ言っているつもりかも知れないが、その言葉で多くの人間が傷つく可能性があることも考えるべきだ。
そもそも、「大人」が身体的特徴や社会的地位を想像して罵るという小学生のような真似を平然としている、という事に驚く。それもTwitterという公共の場で、である。彼等に恥の概念はないのだろうか。
罵倒に罵倒で返してよいのか？
彼等に共通しているのは、因縁を付けてきた相手や、不正な行為をしている者に対して「倍にして言い返してやろう」「懲らしめてやろう」という意識が非常に強いことだ。そして彼等は「間違っている相手になら何を言ってもいい」と思っている。それは著名人に限らず、多くの人間に見られる傾向だ。
確かに世の中、頭がおかしいとしか思えない人間は多い。目には目をの精神で、言いがかりをつけてきた者に対しては懲らしめてやりたくなるし、気に入らない相手を公衆の面前で袋叩きにすればさぞ気持ちがいいだろう。だが品性を失っては人間は終わりだ。「相手が間違っている」という事が、相手を罵っていい決定的な理由にはなり得ない。罵倒に罵倒で返すのは、自分が相手と同じレベルであると自ら証明しているようなものだ。
暴言は自分に向けられていなければ関係ないのだろうか？そんなことはない。誰に対する暴言であろうと目にすれば不快になるし、暴言を吐いている者の印象は悪くなる。それに少しでも自分にも当てはまれば、関係がなくとも嫌な気持ちになる。どうして冷静に、「大人」の対応ができないのか不思議でならない。
何も誰に対してもヘコヘコと下手に出ろと言うわけではない。相手と同じレベルで罵る必要はないと言っているのである。自分は悪党を懲らしめているつもりなのかも知れないが、端から見ると、前述したように「この人はこういう風に人を罵れるのか」という感想しか沸いてこない。
「死ね」という低レベルな暴言を吐く相手に、「僕はいずれ、家族に看取られて死にます。お前のような童貞チンカス野郎は、どうぞ孤独に死んで下さいね^.^/」などと返す必要はない。
取るに足りない相手は無視するか、黙ってブロックをすればよいのではないか。それを数千、数万のフォロワー、それ以外のビジターに見せる必要があると本当に思っているのだろうか。ファンを味方に付けようと思っているのかも知れないし、「こんな奴等にまとわりつかれてんねん俺」とアピールしたいのかも知れないが、確実にファンを減らしていると思う。
とはいえ著名人が相手を罵るのは、相手に非があることも多く、その著名人が１００％悪いとは決して言えない。何とも言えない感情が鬱積するばかりで、だからTwitterは嫌いなのである。
例に挙げた人達のTwitterは今までに一度か二度しか見ていない。他のTwitterも最低限の情報収集時、また検索に引っかかってしまった時以外は決して見ることはない。つぶやきを見て人を嫌いになる事ほど虚しいこともないが、Twitterはそれが起こる危険性が非常に高いからだ。
著名人をはじめ、Twitter利用者に望むことは二つある。無視を覚えるか、さもなくば「大人」になってくれということだ。
自分の場合
自分のブログやサイトにも、非常に稀ではあるが、時折攻撃的なコメントが寄せられる事がある。自分は自尊心が強く非常に短気だが、しかし決して相手を罵ることはしない。無視か、「相手が何を言いたいのか」を最大限好意的に解釈して対応する事にしている（Youtubeのネガティブなコメントは、黙って削除しているが）。
罵倒に罵倒で返すことによる不要なトラブルや印象低下を招くくらいなら、自分が少し我慢した方が良いからだ。事なかれ主義になれということではない*1。どうしても譲れない部分があって、相手と意見を戦わせるのは良いだろう。だが罵倒に罵倒で返すのは、ただの不毛な醜い争いだ。誰も見ていないところで一対一でやるならともかく、人が見ているところでやらないでもらいたい。
*1:筆者は事なかれ主義だが。
