今週も間延びしているドラゴンボールZ #62

アニメではグルドの格を徹底的に下げるエピソードが追加されている。ベジータだけでなく、フリーザすらグルドを歯牙にも掛けない有様であったが、フリーザは部下を軽視するタイプではない。原作の範囲内では無意味な処刑はしていない。ギニュー特戦隊の一員に選んだ以上、戦闘力が低かろうとグルドはベジータよりも重要な配下であり、側にいるグルドを無視してベジータにだけ指令を与えるとは思えない。

ベジータとて、当時では今以上に実力差のあるギニュー特戦隊の一人に刃向かう意味はないだろう。つまりこのエピソードは、グルドだけでなくベジータフリーザも格が落ちているわけだ。ただ限られた情報の中からでも、グルドが戦闘力の低さゆえ仲間から多少軽んじられていること、それに反して性格が悪いことが窺える。ギニュー特戦隊に選ばれたことで必要以上に図に乗り、それをフリーザが快く思っていなかった可能性もあるが、そこまで行くと妄想の領域だ。今回の話だけでは何故ベジータがグルドに対して強気だったのか、フリーザまでもがグルドに冷たい態度だったのか全くわからない。

ギニュー特戦隊は時間操作や宇宙一のスピードと、ドラゴンボールにしては珍しく特殊能力を持った敵が二人もいたが、割と杜撰に扱われたように思う。特に宇宙一のスピードは何だったのかよくわからない。最初のデモンストレーション以外では特別速いような描写もなかった。今時の漫画なら、ちゃんとスピードは悟空以上という描写になっていたのではなかろうか。ただスピードキャラは他の作品でも不遇な扱いを受けることが多い。スピードが速いなら攻撃力も高いはずだが、だいたいパワー不足という設定になっている。またスピードを活かしてやることといえば残像を増やすことばかりで、なかなか相手に直接攻撃しない。パワータイプの方がかませ犬になりがちか。いずれにせよ、一芸に秀でたタイプは強者の持つ「すごみ」みたいなものでねじ伏せられる運命にある。

そういえば後々、悟飯が「スピードには自信があるんですよ」などとわけのわからないことを言っていた。あれは何の根拠があったのだろう。ピッコロも「貴様がパワーならオレはスピードだ」と言っていたか。パワーで相手と張り合う自信がない時の、強がりみたいなものだろうか。