CM前にオチを言う演出

「山場CM」と呼ばれる演出方法がある。クイズ番組で答えを発表する寸前に「答えはCMの後!」と言ってCMを流したり、「大物ゲストはこの方!」と言ってゲストが登場する寸前にCMを流したりすることだ。

こういう瞬間を目にする度、視聴者は「ああ、テレビというものは番組がメインじゃなくてCMがメインなのだな」と痛感するわけだが、昔から多用されていて、今更怒る気にさえならない。

今問題視しているのは、ある意味では山場CMの対極にあると言える演出方法だ。ある番組では、CM前にCM後の展開を全て言ってしまうのだ。従来のやり方なら、たとえば「この後丸秘ゲストが陣内の大恥エピソードを暴露!」とテロップで表示するところを、その番組は「この後ケンドーコバヤシが陣内のファミコンにカレーをかけてしまった大恥エピソードを暴露!」と、オチを言ってしまうのである。

先にオチを聞かされた笑い話が面白いか?山場CMよりタチが悪い。最近はCM前や番組開始前のダイジェストで、オチを言ってしまっている番組が増えてきているように思う。「大物ゲスト」や「丸秘エピソード」という曖昧な情報では視聴者を引きつけられなくなったから、もう全てを言ってしまって、詳細が気になる人は見てね、と言うことなのだろうか。それも一つの考え方であろうとは思う。

具体例を一つ示しておこう。

「いまだに怒っています」というエピソードを発表するコーナーにおいて、CMへ行く前に表示された画面である。マネージャーに切れてから面白い話に展開するわけではない。「疑惑をかけられた」がオチに相当する部分である。だからここは「マネージャーへの怒りを暴露!」で十分ではないだろうか。オチを書いてしまっているのだから、面白さは半減以下だろう。オチを先に言ってしまうという意味で、この手の演出を徹子CMと名付けたい。