お絵描きセットを使い切る175

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まほろまてぃっく(不明)
1973年7月15日放送のサザエさんでは、カツオを説得するために波平が禁煙せざるを得ない状況となり、以後波平は何かにつけて煙草に過剰反応するようになった。タラオとの散歩中、バス停にいた若者が捨てた吸殻にも思わず目を向ける。タラオに見られている事に気が付くと、「煙草の火をよく消さないで捨てるのは良くない」と言って吸殻を踏み始めた。煙草を吸いたがっている事を悟られたくないために誤魔化したという事である。「ポイ捨ては良くない」ではなく、「火を消さないで捨てるのは良くない」。ポイ捨てそのものを全く問題視していない。波平は禁煙中で煙草に過剰反応する状態だったからこそポイ捨てされた吸殻に反応を示したのであって、普段なら素通りだったと考えられる。甘い面もあるとはいえ、一応厳格な大黒柱という設定の波平すらこの有様だ。40年前が如何に非喫煙者にとって地獄だったか、このシーンだけでもよくわかる。だからといって、今同じようなシーンを描く場合に、波平に「ポイ捨ては良くない」と言わせるべきだとは言わない。波平が当時当然のように存在した喫煙者である以上、「その程度」の感覚しか持ち合わせていない方がリアルだ。設定上の時代は変わらないのに、登場人物の価値観が現代のものに変わっていくのは不自然だ。もっとも現代人に向けて作品を作る以上、そうも言っていられないのだろう。今の波平やマスオは喫煙者ではないか、少なくとも喫煙シーンは描かれなくなっているのではないか。「火を消したらポイ捨てもOK」も不思議な考え方だが、現在の(一部)の喫煙者も、「地面に捨てるのはダメだが、排水溝に捨てるのはOK」という不思議な考え方をしている。

ちなみに「こちら葛飾区亀有公園前派出所」では、はっきりと主人公の両津、並びに上司の大原部長が禁煙した経緯が描かれている。ツイッターでは「禁煙ブームのせいで喫煙キャラが消えた」と誤解している者を見かけた。実際には作家自身が元々タバコ嫌いであると思われ、当初は設定上やむなく両津やそのほかのキャラクターにも喫煙させていたのだろう。両津の禁煙は1980年前半頃で、禁煙ブームとやらが原因とは思えない。両津が禁煙する回で「タバコを二度と出さない」と作家は宣言している。それで本当に出なくなったかどうかは知らないが、少なくとも喫煙するキャラクターが激減したのは事実であり、実際の喫煙率と照らし合わせると不自然ではある。