今週も間延びしているドラゴンボールZ #37

フリーザ編へ移行するための話の作りは実によくできている。今までの設定がうまい具合に噛み合い、宇宙へ行くことに無理がなくなっている。宇宙船はブリーフ博士が一から作ったということでも良かったかも知れないが、「宇宙船なんて作れたんだぁ?」という疑問はどうしても付きまとう。既存の宇宙船を改造ということなら無理がない。

神とピッコロがナメック星人だったとか、悟空がサイヤ人とか、荒唐無稽のように見える展開も特別矛盾がない。大全集かどこかで自ら言っていたように、鳥山御大の辻褄合わせ技術は神懸かり的だと思う。最初から設定されていたわけではないにしても、尻尾の生えた人間は悟空以外にはいなかったし、魔族もピッコロ一派には存在していない。他にも何人かいると、とってつけた感があったかも知れない。確かに悟空やピッコロは唯一無二の、地球でも特異な存在だった。もう一つとってつけた感を出さないために大事なことは、あくまでも本人は知らなかったということだろう。外部から来たサイヤ人によって初めてその事実を知ることになる。本人が「実は私は宇宙人でした」と言うのに比べて不自然さがない。

さらに重要なことは、設定を付け足さないことだろう。ありがちなのは次々と色んな設定を足して、最終的に主人公がどういう存在なのかよくわからなくなってくる場合だ。悟空はあくまでもただのサイヤ人であって、それだけなのがいい。選ばれたサイヤ人だったとか、あるいは神の末裔だったとか、サイヤ神の転生体、予言の子などと、そういうのを次々足されるともうええねん、と言いたくなる。父親のバーダックフリーザに最後まで抵抗していた、ちょっと強いサイヤ人というだけなのもいい。「かつてフリーザの先祖を追いつめた事がある、伝説の超サイヤ人こそがバーダックだったのだ」なんて設定がなくて本当に良かった良かった。悟空は選ばれし子であって欲しくない。