今週もひどいドラゴンボールGT #63

終わり間際だからか、作画が妙に良い。作画は良くても……ごほごほ。地球を光弾で破壊しようとした一星龍だが、悟空に一度防がれると「マイナスエネルギーによる汚染」という非常にのんびりした方法に切り換えた。「もう一発撃てばいいじゃん」と言うのは無粋なのだろうか。きっと無粋なのだろう。でもブウはそれやりましたけどね。ま、進行がグダグダになりますからね。

悟空がやられると、今まで静かだった雑魚共が急にはしゃぎ出すのがGTの伝統芸である。当然殺されるでもなく、ただ出てただやられる。ここまでがセット。なんとか魔光弾!ドラゴンサンダー!とゴテンクス並の素敵なネーミングの技を披露する一星龍。これで雑魚共は決して死にはせず、良い感じの怪我を負い、満を持して悟空が登場する。

超サイヤ人4でも勝てない相手に、エネルギーの切れた悟空がどうやって勝つのか?そのアンサーは「元気玉」だった。……ブウ編と同じですやんか。しかしいつの間にか元気玉はバージョンアップし、技の準備中は無防備という弱点を克服。どういうわけか悟空は一星龍の攻撃で一切ダメージを受けなくなった。地球の元気だけで何故そんな芸当が可能なのだろうか。元気を限界まで吸い取っていたとしても、せいぜい勝てるのはブウくらいのものだろう。ともかく、自分が一星龍だったら悟空には構わず、地球を破壊しようとしていただろう。しかしそれは無粋というものらしい。……フリーザが確かそれをやろうとしていたけども。

地球の元気だけでは足りないため、これまで出会った宇宙人達からも元気を集めた。展開がまるきりブウ編そのものだが、ブウ編と違うのは何の障害も起こらず、普通に元気玉をこさえて、普通にぶん投げて、普通に一星龍を倒したということだ。ドラゴンボールは形勢が二転三転し、普通の漫画ならそこで勝つだろう、というところでさえも一旦失敗することが多い。ベジータ戦でもフリーザ戦でも、元気玉を当てるまでには様々な困難があった上に、元気玉だけでは倒せなかった。ただ普通に作ってただ撃つだけでは起伏に掛けて面白味がなくなるからだろう。消化試合のようなものになってしまうからだ。

消化試合感丸出しの元気玉で、史上最大の敵はあっさり敗れ去った。最後の最後なのだから余計な小細工はいらない、ということなのかも知れないが、少なくとも原作では予定調和丸出しにならないような展開にしようと工夫していたように見受けられる。フリーザとの戦いにしても、悟空が超サイヤ人に覚醒して気持ちよく倒すという結末にはなりそうなものを、そうはならなかった。何せ決着の付いた回のサブタイトルが「空しい決着」である。

セル戦にしても、悟飯が覚醒して倒したぜうおーで十分盛り上がったであろうに、あそこで悟空を殺してしまうのだからすごい。あの一捻りがあるからこそ、ドラゴンボールは時が経てば忘れ去られるようなバトル漫画には留まらなかったのではないだろうか。王道と予定調和は相性が良いのかも知れない。だが、予定調和をただ垂れ流すだけでは何も残らない。ドラゴンボールはキャラと設定を変えても話として面白いが、GTはどうだろうか。ドラゴンボールというブランドにおんぶにだっこなのは明らかだが、ドラゴンボールというあまりにも重すぎるブランドがゆえに腐って見えてしまう可能性も大いにあり得る。全く違うキャラと設定の幼児向けアニメとしてなら、十分見れていたかも知れない。