今週もひどいドラゴンボールZ劇場版 激突!100億パワーの戦士達

新ナメック星がビッグゲテスターに乗っ取られるところから話が始まる。既にデンデが地球の神となっていた。いきなり設定が進みすぎじゃないか。クウラ編は原作の28,9巻頃の作品というイメージがある。デンデが神になったのは33巻だろう。1年ぶりの映画なのだろうか。
デンデが神になっている以上、ピッコロは神と融合し、悟空やベジータ精神と時の部屋から出た後だと考えるべきなのだが……。フリーザ一族が、このレベルの悟空やベジータを追いつめていいものだろうかという疑問が残る。悟空とベジータが強さで並んでいたのは、心臓病を考慮しなければ人造人間編の開始時くらいで、精神と時の部屋を出た後は絶望的なまでに差が開いていた。
悟飯が超サイヤ人になっていないところから見ても、デンデが神になっているという一点だけが未来になっていて、それ以外は人造人間編序盤だと解釈するべきだろうと思う。次の作品の敵は人造人間だし、ますます精神と時の部屋から出た後と考えるのは難しい。
今回は名のある敵がクウラのみで残りは全て雑兵という、Zシリーズでは今までにないパターンだった。しかしその雑兵がやたら強い。若いナメック星人を捻り潰すだけでも違和感がある(ナメック星人は宇宙人としてはかなり強い部類であろう)のに、ピッコロもちょっとやそっとでは勝てないのだ。それは装甲の硬さゆえということだが、いくらなんでも硬すぎるだろう。幹部クラスとの戦いがない代わりに、無骨なロボットとの戦いが長いのはマイナス。脇役の活躍が必要ならば、やはり相応の適役が必要ではないだろうか。
今回、ベジータが映画に初参戦する。ピッコロのお株を完全に奪ってしまった。昔はベジータの立ち位置にはピッコロがいたのである。人造人間編序盤ならまだピッコロがベジータの上を行くこともあっただろうに、早くも雑魚狩り専門になってしまった。しかしデンデが神になっている以上、ピッコロは神と融合していなければおかしい。悟空やベジータ精神と時の部屋後には見えず、となるとピッコロが最強でもおかしくないのだが。悟飯はもはやクリリンと同じポジションだ。回を追うごとに活躍しなくなっていく。いつまでも不憫なキャラクターだ。さすがに成長したためか、悟飯の変な挿入歌は入らなくなった。めでたいことだ。
メタルクウラは何故か瞬間移動を体得していた。さ、先にやるなよ……。悟空の気円斬といい、意外に映画は原作の展開を先取りしている事が多い。敵が瞬間移動を使うというのも、映画製作時点の原作ではやっていなかったはずだ。
苦労してメタルクウラを倒したかと思ったら、100体は越えるメタルクウラの大軍が現れる、というシーンは映画史上最も絶望的なシーンであったと思う。映画を何回か見たことはあったものの、どうやってこの場を切り抜けるのかは忘れていた。忘れるのも無理はない。切り抜けてなどいなかったからだ。普通に負けて普通に捕まっていた。殺されずに捕まえられるのはご都合にも思えるが、エネルギーを吸収して成長するというビッグゲテスターの性質上、超サイヤ人は格好のエネルギー源であるという理屈には筋が通っている。
ところが超サイヤ人のエネルギーが予想以上に多すぎたため、ビッグゲテスターが破壊され、メタルクウラの機能は停止。超サイヤ人が凄いというより少々クウラが間抜けに見えるのは、敵側の行動だけで形勢が逆転してしまったからだろう。この辺を、何とか超サイヤ人のすごさだけではなく、脇役の活躍でどうにかして欲しかったところだ。