今週もひどいドラゴンボールZ劇場版 この世で一番強いヤツ

いきなり敵がドラゴンボールを使って最初の目的を達成する。映画では敵がドラゴンボールをあっさり使うことが多い。最初から揃っているから、悟空達との争奪戦もなければ阻止しようともしていない。前回は不老不死だったが、今回は頑丈な氷の除去という地味な願いだった。後の描写を見る限り、氷で動けなくなっていたというDr.ウィローは自身の力で簡単に壊せそうな気もした。要塞の氷を除去するのは不可能だったから、と思っておこう。

時系列はピッコロが生きていて悟空が界王拳元気玉を使っているところから考えると、サイヤ人を倒した後か、サイヤ人編のパラレルと言ったところか。今回も前回同様、ピッコロが敵に不意打ちされやられた。いつも損な役回りだ。この役割もその内ベジータに移るのだろう。「神と神」では悟空自身がかませを演じるという稀有なパターンだった。主人公が一度やられるのはむしろ王道で、別に稀有ではないが、ドラゴンボールフリーザ編以後は、悟空自身が惨敗するケースはあまりなかった。

雑兵のロボットのデザインがサイバイマンに影響を受けすぎだった。わざとだとは思うが、手抜きにも見える。

前作に続いて、序盤で悟飯の変な挿入歌が入った。一体どういう顔で見れば良いのだろう。一作だけならなかったことにできるが、二回連続で来ると辛い。最初の内に幼児の心を鷲掴みにしておこうということなのだろうか。企画上は子供向け映画だから仕方ないとはいえ、ドラゴンボールの対象年齢は決して歌で喜ぶ幼児ではないはずだ。血生臭いことが好きになってくる10歳以降くらいではあるまいか。幼児も歌で喜んだとしても、その内退屈になるだろう。ストーリーの意味がわからんだろうから。

亀仙人が敵の雑兵に教われるも、軽く撃退した。Zになってもまだ戦闘面で活躍できる余地があるとは思わなかった。Dr.ウィローの知識では世界最強の使い手が亀仙人ということで、その強さを確かめるため、亀仙人は要塞に連れてこられた上、幹部クラスの3人をけしかけられた。悟空でも苦戦するであろう敵のターゲットになるのは不憫すぎる。頼もしい新世代が現れて、すっかり隠居になっているおじいちゃんを引っ張り出すのは可哀想だ。しかし薄い記憶を辿ると、他の劇場版でも亀仙人は必ず登場している。次作以降でも戦わされることになるのかも知れない。あまりいじめないで欲しい。

中盤から3人組と悟空との戦闘シーンが続く。強さそのものより、特殊体質や電気、凍結といった特殊な能力に苦戦するが、界王拳で撃破していく。界王拳は実に便利な使われ方をしている。素晴らしい発明だった。超サイヤ人になってからは瞬間的なパワーアップという概念がなくなったから、とにかく「うああああー!」と叫んで何となく敵を倒すしかなくなってしまった。

電気を使う敵は瞬間移動のような能力を持っていたが、それがどういう原理なのか最後までわからなかった。単純にそういう能力を持っているということなのか、雷の速さで動けるということなのか。神との修行の段階で、雷より速く動く技術を既に得ているはずだが。

3人を倒した後は、洗脳されたピッコロとの戦いに移行する。ウィロー側はどうも、相手をピッコロ大魔王と認識した上で洗脳していたようだ。それで亀仙人をこの世で一番強いヤツだと思っていたのか?どうも辻褄が合わないが、深く考えても仕方ない。

ウィローとの戦いは、ベジータ戦と大まかな流れはほとんど同じだった。前の作品でもそうだが、原作の焼き直しの感が強い。敵と状況が少し異なるだけだ。やはりバトルがメインになると、どうしても似通った展開になるのだろう。王道展開を迫力ある作画で描かれれば、それだけである程度楽しめるとはいえ、何か一捻り欲しいところだ。王道で捻っても仕方ないのか。捻りに捻った結果が「神と神」なら、王道の方が良いのかも知れない。

ストーリーそのものに捻りはなくとも、ウィローのデザインはドラゴンボールにはない奇抜さで良かったと思う。ウィローの声も、ロボットっぽくも老人っぽくもない点が外見とギャップがあって悪くはない。コーチンもただの解説役のジジイというわけではなく、切り札の武器を二つ持っていて印象深い。今回の敵キャラは短い時間で十分個性を出せていた。

悟飯は今回も活躍していた。強くなればなるほど活躍できなくなるというのも切ない話だ。