今週もひどいドラゴンボール劇場版 摩訶不思議大冒険

レッドリボン軍編と第22回天下一武道会編がごちゃ混ぜになった作品。タイトルが示す通り、ストーリーはかなり混沌としている。原作のキャラクターが多少役職を変えて登場しているが、概ね役所は変わっていない。チャオズのみが皇帝に祭り上げられ、まるでヒロインのような存在になっている。本名はチャオズらしいが、皇帝であることは事実のようなので、この作品は完璧にパラレルワールドということだろう。

限られた時間の中で、多数のキャラクターが自分の持ち味を発揮している。原作からの引用も多く、中だるみがない。ヤムチャ対ボラ、メタリック対亀仙人などの原作にはない組み合わせの戦いも、強さの描写に違和感はほとんどなかった。

桃白白のどどん波で、悟空がカリン塔まで吹っ飛ばされるという力業のご都合展開はかえってギャグになっていたと思う。ご都合展開はさじ加減を間違うと興醒めする要素だが、あまりに強引すぎると面白い。映画の中で修行する暇などは当然なく、悟空はカリンにちょっと諭されただけで桃白白より強くなってしまう。かなり強引に思えるが、これも映画なら仕方ないだろう。桃白白が迫って来るという緊迫した場面を、アラレちゃんが台無しにするのも混沌としていて面白い。

惜しむらくは悟空と天津飯にほとんど接点がないことだろう。途中から帝国パートとペンギン村パートに話が分断されてしまい、天津飯は強さを発揮する機会に恵まれずに終わった。重要な役所ではあるものの、主人公側のキャラクターとあまり接点がないという意味では中途半端だった印象がある。ついでに、皇帝チャオズが会いたがっていたという人物がぬいぐるみであったことも狂気を感じさせて恐ろしかった。一体チャオズとは何なのか。原作でもよくわからないから映画でもよくわからない。